桐株式会社の開発者ブログ

レガシーな不動産建築業界をITの力で変えたい

定番フォントから見る最新フォント

初めまして、BPMtechデザイン担当の奥山です。
テックチームでブログを書いていこう!ということになったので、他のメンバーとはちょっと違う(グラフィック寄りの)デザイナー観点から、最近のWEBデザイン事情について書いていこうと思っています。

今回は『定番書体から見る最新書体』とさせていただきます。
僕は前々職まではグラフィックデザイナーとしてお仕事をさせていただいていましたが、自分のやりたいこととは方向性が違った為に一度業界から離れました。 しかし縁があり今年再びグラフィック・WEBデザイナーとしてBPMtechチームでお世話になることになり、日々奮闘しております。

久しぶりに業界に帰ってきてみると、やはりレガシーでスタンダードな書体は引き続き使われているものの、フラットデザイン・マテリアルデザインの普及によって、あまり目にしなかった書体が目立ちました。 それはどれもサンセリフで視認性・可読性がよく、シンプルな骨組みに幾何学的なエッセンスが加えられているものでした。

そこで、これまでのデザインで使ってきた書体から、これから自分がデザインしていく上で役立ちそうな書体まで、独断と偏見たっぷりでピックアップしてみようと思います。


1. 太古からのスタンダードサンセリフ

古くから現在も愛され続けるサンセリフ書体たちを紹介します。デザインをやっていたら、必ず1度は使っているでしょう。 どの書体も可読性がよく輪郭がシンプルですね。

Helvetica Neue

f:id:s-okuyama:20170721105857p:plain Designed by Eduard Hoffmann in 1957 ( Original Helvetica )
サンセリフといえばコレ。目にしたことがない人はいないでしょう。世界中のいたる所で使用されています。 1957年に手組み用活字書体Neue Haas Groteskとしてデザインされ、以後ファミリーを加えてHelveticaとして発表されました。
可読性・視認性・判読性において最高ランクであり世界で一番売れている書体と言われても頷けます。 書体の面白さ、設計の精密さに気づき始めたとき、必ず誰もが一度は恋をする書体だと思います。
しかしその反面、スタンダードになりすぎてもうこの書体にはオリジナリティーやパワーはありません。 某アパレルチェーンの6日間だけの炎上新ロゴのような、書体主体のロゴなどには現在は適していないと思います。


Akzidenz Grotesk Next

f:id:s-okuyama:20170721105945p:plain Designed by ??? in 1896? ( Original Akzidenz Grotesk )
Akzidenz Groteskは19世紀にデザインされた書体で、実は未だにデザイナーや生い立ち等が謎に包まれたままです。
上記のHelveticaの元になったとも言われています。確かにHelveticaと似てはいますが R C Q 等に特に特徴があります。 Akzidenzの方が若干野蛮で力強い印象を受けます。 Helveticaよりもこちらの方が僕は好きです。皆さんもマクドナルドでよく目にしているはず。


Futura

f:id:s-okuyama:20170721110057p:plain Designed by Paul Renner in 1923
1923年にドイツのバウハウスにおいて非常勤講師として勤めたPaul Rennerによりデザインされ、今日一番目にするジオメトリック・サンセリフ書体です。
鋭く尖ったコーナーとまん丸なカーヴが特徴的で可愛らしいながらも。とても力強い存在感を持った書体です。
その可読性の高さから計器などに使用されはじめ、NASAアポロ11号に設置した盾章にFuturaを使用しました。 実はBPMtechのオフィスが入っているビルの内装はFuturaで統一されてたりします。 僕は今でもよく使いますFutura


Avenir Next

f:id:s-okuyama:20170721110106p:plain Designed by Adrian Frutiger in 1988 ( Original Avenir )
Futuraと同じ「未来」を意味するAdrian Frutigerによってデザインされた書体。 実は、この書体は好きではありません。同デザイナーによる人気書体「Frutiger」も苦手なことから多分この方のバランスは自分に馴染まないようです。
なぜ載せたかというと、デザイン会社で勤めていた際にクライアントからの要望で指定が入ることが多いためです。
しかしこの書体、縦の比率を110%に設定してやって少し縦を伸ばしてやると、とてもスッキリとした使いやすい書体と変身します。 僕は使う時はそうやって使っています。実はスターバックスで使われている書体はこれなんですよ〜!知ってました?


Din Next

f:id:s-okuyama:20170721110111p:plain Designed by Deutsche Industrienorm in 1931 ( Original Din 1451 )
ドイツ工業規格のためにデザインされた書体。この書体は一番思い入れのある書体で、過去に僕がドイツのレコードレーベルからレコードをリリースした時、ジャケットに使われていた書体がDINでした。
それまでHelveticaこそ最高の書体と夢中だった僕は、その極限まで削ぎ落とされかつ精密な錯視に衝撃を受けました。 Helveticaはとても美しい書体でしたが、なによりDINは「カッコイイ」書体でした。 この書体に触発されて、僕も書体制作をするようになりました。
1995年にAlbert-Jan Poolによりフォント化されると、すさまじい勢いで世界中に広まり今日ではHelveticaを脅かす勢いで目にするようになりました。





2. デザイン事務所時代に多用していたサンセリフ

この時僕はエディトリアル・デザイナーとして主に本や雑誌・カタログなどのデザインをしていました。この時代のサンセリフ書体達は、既存のスタンダードな書体を洗練させたようなものが多かったイメージです。

Gotham

f:id:s-okuyama:20170721111340p:plain Designed by Tobias Frere-Jones in 2000
GothamはHoefler & Frere-Jonesが2000年に、アメリカのメンズファッション誌GQのために制作した書体です。 オバマ元大統領のウェブサイトに使用されたで一気に認知度が広まったようです。
とても力強くどっしりと安定感のあるジオメトリック・サンセリフで、ロゴやタイトル、看板等にとても適している書体です。 近年のフラットデザイン及びその派生デザインによく馴染み、強く印象つけることができます。 またThin等細身のウェイトは、その輪郭の綺麗さが顕著に現れまた違った美しさを持っています。


Gotham Narrow

f:id:s-okuyama:20170721111351p:plain Designed by Tobias Frere-Jones in 2000?
Gothamのファミリー。少し横幅を縮めデザインされていて、とても使い勝手がよく僕はこちらの方をよく使用します。 字間を大きくとった時にもとてもバランスがよく美しい。


Akkurat

f:id:s-okuyama:20170721111406p:plain Designed by Laurenz Brunner in 2004
この書体の登場は衝撃的でした。というかショックでした。
当時僕は、DINにHelveticaの美しさを融合した、新しいサンセリフ書体を作り出そうと毎日設計に励んでいました。 そんな時スイスのLaurenz Brunnerによってリリースされたこの「Akkurat」はまさに僕の目指していた書体でした。 いや、それどころか何倍も、完全に上回ったパーフェクトな書体でした。(その当時の僕の中では) これ以降、可読性を軸にしたサンセリフの制作はしなくなりました。
BPMtechではコマンド画面の欧文書体にAkkurat Monoを使用している者が2名います。
大変美しく、元気いっぱいな書体ですがまだまだ知名度は低いようです。 主に建築アート系の書籍のカバーなどでよく目にしますが、広告などで目にしたことはありません。


Replica

f:id:s-okuyama:20170721111431p:plain Designed by Norm in 2008
スイスのデザインユニットNormによってデザインされたReplicaは、往年のスタンダードなサンセリフの姿を骨組みにしながらも、コーナーが面取りされていたりと遊び心がクールな印象を醸し出しています。
コーナー面取りによって輪郭がボケますのでロゴ等に特に適した書体だと思います。
日本では雑誌POPEYEがリニューアルでReplicaを使用するようになりましたね。発見した時は何故か嬉しかった。


Unica Haas

f:id:s-okuyama:20170721111450p:plain Designed by Alfred Hoffmann? in 1973?
HelveticaとUniversの融合をコンセプトに開発されたらしい書体。Helveticaより柔らかくクリアなイメージで、力強さはないもののとても使いやすい書体です。
美しく出来上がったものの、どっちつかずで中途半端だった為かほぼ使用されることはなく、お蔵入りとなっていました。
2015年にNeue Haas Unicaとして再デザインされ知名度は上がったものの、やはりまたここでも中途半端さのためわざわざ購入する人が少ないのか、街で見かけたことはありません。





3. BPMtechチームに入ってから気に入っているサンセリフ

WEB技術の進化は目まぐるしくデザインはかなり変化がありました。特にフラットデザインを軸にしたデザインの普及によって、以前にも増してジオメトリック・サンセリフ書体の需要が高まったと思います。
しかしフラットデザイン自体がとてもミニマルでクールな雰囲気を出してしまうので、それを緩和するためか新しくデザインされた書体たちは、どれも幾何学的なフォルムに人間味のような暖かさを与え、うまく崩されています。

Brother 1816

f:id:s-okuyama:20170721111500p:plain Designed by Ignacio Corbo & Fernando Díaz in 2016
サンセリフ書体が作られて200年を記念して、WEB用にデザインされたジオメトリック・ヒューマニック・サンセリフです。
非常に多くのウェイトや異字体が収録されているので様々なシチュエーションに対応することができると思います。 どっしり・しっかりとした軸に少し古典的なスパイスを投入し、優しい崩れがとても好印象です。 シンプルになりすぎてしまったミニマル・フラットデザインに温かみを与えてくれるでしょう。


Brandon Grotesque

f:id:s-okuyama:20170721111511p:plain Designed by Hannes vonDöhren in 2010
こちらも比較的新しい書体。ジオメトリックで可読性を重視したデザインです。
エレガントかつインパクトを持ち合わせていて、字間を開け気味で大文字での使用がとても印象的です。 上記のBrother 1816とはまた違った柔らかさがありますね。


Roboto

f:id:s-okuyama:20170721111524p:plain Designed by Christian Robertson in 2015
GoogleがモバイルオペレーティングシステムAndroid用のシステムフォントとして開発したネオグロテスク・サンセリフ書体。
久しぶりにAkkurat以来の衝撃がきたような気がします。いつか僕が夢描いていたHelvetica ( Condenced ) と DIN の融合、これに極めて近い。素晴らしい。 そして何が素晴らしいって、これがGoogle Fontよりフリーでダウンロード出来るのです。 今後積極的に使っていきたい書体です。


Railway

f:id:s-okuyama:20170721111538p:plain Designed by Multiple Designers in 2010
大きめのボディに細身のラインが美しいRailwayもGoogle Font。フリーです。
太めよりも細めのウェイトでダークな背景になんかすごく映えるはずです。


Lato

f:id:s-okuyama:20170721111553p:plain Designed by Urs Lehni & Lex Trüb in 2009
ポーランドのŁukasz Dziedzicによってデザインされた書体。Google Fontの中では比較的話題に登っているようですが、Gill Sansに似た…と言っている方が多かったのですが、僕はあまり似ていないと思ってます。
細部まで洗練されたフォルムはGillのそれとは全く違います。可読性に優れた最先端書体として活躍の場はたくさんあるでしょう。フリー。





4. (オマケ)使ってみたいサンセリフ

最後に、気になっている使ってみたいサンセリフをピックアップ。

LL Brown

f:id:s-okuyama:20170721155307p:plain Designed by Urs Lehni & Lex Trüb in 2010?
ジオメトリック系のサンセリフでリクライニングというItalicと逆向きの斜体があるのが特徴です。
なによりリリースイメージが秀逸すぎます。誰でしょうか。大きく印刷して部屋に貼りたいくらいですね。


LL Circular

f:id:s-okuyama:20170721160416p:plain Designed by Laurenz Brunner in 2013
AkkuratのLaurenz Brunnerがデザインした新しい書体です。やはりこの方のデザインする書体はとても洗練されていて息を飲みます。
ジオメトリックの割合が絶妙で使い場所を選ばなそうです。


独断と偏見でいろいろとフォントを語らせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。 これからのデザインに役立つフォントが見つかれば幸いです。

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